御挨拶

財団法人 日本美容医学研究会
日本美容外科学会
会頭 梅澤 文彦(十仁病院)

時下、先生方におかれましては、益々御清栄の事とお慶び申し上げます。
 さて、当日本美容外科学会も1967年に第1回学会を開催し、今回で83回を迎えるに至りました。
 21世紀になり、社会の発展に伴い医学も、長寿のみならず健康で良質な生活に貢献する医学へと変容してまいりました。 世界の高齢化が更に進み、人々はQ.L.O.(quality of life)を考えるようになりました。その一環として多くの人々の美しさへの関心も強まり、美容外科の繁栄を促しました。
 私がいつも申し上げているように、医学は治療医学から、予防医学へ、さらには幸福医学へと進歩していきます。 そこで美容外科は、基礎医学、臨床医学、東洋医学、DNA医学、生殖医学、即ち総ての医学・科学の分野の総合力で発展、進歩するものであります。 例えば内分泌で若さを保ったり、遺伝子等で胸を大きくしたりと夢は広がります。
 良い医学とは、「患者にとって何が最善か」を熟慮し、医の倫理にしたがって「学問的医療」に努めることだと思います。
 美容医学に関心をお持ちの先生方には積極的にご参加頂きますようお願い申し上げます。

第83回日本美容外科学会
会長 平田修人(名古屋美容外科)

 ますます御清栄のことと存じます
 ご存じのとおり今年のノーベル賞に、一企業の学位を持たない若い研究員(小生と同年代)が選ばれました。さすが世界のノーベル賞だと感動しました。もしも選考委員が日本人だけならば、この受賞は無かったことでしょう。現に日本のマスコミはおろか学者の間でさえ彼はノーマークだったそうです。世界というフィールドでは出身、所属、学閥、学位など何の意味も持たないことが証明されたのです。「学会に参加するためにも審査がある」ような閉鎖的なことでは進歩を妨げることになるでしょう。
 大学・医局中心だった旧来の医療界も確実に変化しています。かつては形成外科の一分野として存在し日陰的存在と思われた美容外科も、皮膚科と泌尿器科が分離したごとく、外科から整形外科や脳外科あるいは胸部外科等が独立していったごとく、一つの独立科として捉えられています。それには在野の一開業医の果たした役割が大でありました。
 近年、皮膚科、婦人科、泌尿器科等を中心として他科との境界も薄れつつあります。アンタイエージング、HRTを代表とする内科的アプローチなど手術外の分野もクローズアップされています。他科から美容外科への進出も自然な流れとなっています。
 今学会の演題を見て頂けば「外科」という二文字は余分な印象さえあります。一部の派閥が利己的な利益死守のために叫ぶ「形成外科医にあらずんば美容外科医にあらず」といった視野の狭い考えは時代にそぐわないものです。自己の殻に閉じこもる事は医療ボーダーレスな現在、進歩が遅れるだけでなく危険な考え方でもあります。
 老齢化社会が現実となり、美容外科のニーズがますます高まりをみせる今、綜合医療としての美容外科を捉えてみたいと思います。テーマは「綜合医学としての美容外科」としました。「綜」の字は誤植ではなく「総」の字にはない「糸を織っていく」という意味が込められています。
 学会というのは限られた時間もあり、全てが血となり肉となるものばかりとは限りません。しかしTipsは転がっています。頼りになる味方、エキシビジョンにも多くの出展をいただきました。患者さんに幸福の布を織ってあげてください。「これでいい」と満足した時進歩は終わります。一見簡単な手術もあるかも知れませんが、そんな手術でも新鮮な発見や新しい解釈の余地はあるはずです。どの手術が一番かと問われれば「next one」が進歩です。

83回日本美容外科学会学術委員長
日本美容外科学会企画委員長
高須克弥(高須クリニック)

今、世界は、変革期であります。古い権威やシステムが崩壊し、新しい道が模索されています。
 8月号のTIMEはアジアの美容外科特集でした。日本美容外科学会員の何人かが紹介されていました。日本美容外科学会は変わりつつあります。若い平田会長がどんな趣向を見せてくれるか楽しみです。
 今回の学会参加予定の日本美容外科学会員は認定医の申請を準備しておいて下さい。
 学会で研鑽を積んだ会員を学会で認定する認定医制度は本学会に以前から存在しましたが資格審査は厳格なものでありました。しかし今や認定医のグローバル化は世界の潮流であります。今回、学会に積極的に参加する会員を認定する制度を改革しましたので資格申請のハードルは低くなります。
 優秀な会員の増加は会の権威を高めます。かくして、日本美容外科学会認定医は世界中で尊敬の対象になると確信します。

日本美容外科学会誌編集長(杏林大学医学部客員教授)
赤松 隆

第83回日本美容外科学会の開催を平田修人会長に心よりお祝い申し上げます。 本学会の長期に渡る歴史は常に過去あるいは現在の学会の会員である先生方の学究的な探求心と共に歩んできておりまして、更に近い将来、あるいは遠き将来にむかって進歩を重ねております。 このような集積した進歩の結果は幾重にも会員の先生方ならびに数多くの協力していただいております皆様方のお陰である事を認識いたしております。 このような継続的なご支持の結果は学会ならびに雑誌の質の向上に直接つながって参りました。 更に、私どもは編集に関しまして数多くの関連学会からのご協力も頂いております。 このような事実は雑誌の進歩・改善に対して大きな効果・影響が得られたという事を確信しております。

編集室からは編集委員会一同に代わりまして国内ならびに海外の会員の先生方ならびに外国の皆様方の専門的なご協力に対して深く感謝の意を表する次第です。 学会ならびに雑誌がより学際的な基準を維持し、国際的な発展を遂げる目的に対して本学会会員ならびにご参加の先生方のご協力を切にお願い申し上げます。